整形外科の患者は手術に関わる急性期だけでなく、回復期、慢性期、終末期、生活期など幅広い領域における看護を必要としています。手術を受けた患者がリハビリをスムーズに進められるように他職種との連携も重要になってきます。機能的改善を重視し、日常生活に必要な動作のサポートや疼痛コントロールを行う機会が多いでしょう。もちろん病院の形態や扱っている専門分野によっても異なりますが、大まかな役割は共通しています。
整形外科ではギプス固定や弾包固定、コルセット、義肢装具、直達牽引、介護牽引などの固定・整復サポートを行うことが多いです。手術の際には創部や硬膜外麻酔などの管理、フィジカルアセスメントに関する知識が求められます。外来やクリニックでは注射を行う機会が多くなります。痛みのある個所に直接麻酔を注入するブロック注射や関節に溜まった水を抜く注射を行います。
整形外科には医師以外の専門家が複数在籍しています。その中でも関わることが多くなるのが理学療法士や作業療法士です。術前・術後のリハビリを担当するため、看護師に次いで患者と接する機会が多くなります。また、退院調整や要介護認定のタイミングでソーシャルワーカーとやり取りをします。外来やクリニックでは検査をする機会が多いため、放射線技師との連携も必要になってくるでしょう。
病院には手術が必要な患者や絶対安静が必要な患者が入院することが多いです。一方、クリニックは骨粗鬆症や腰痛などの慢性的な痛みを伴う症状を抱える患者が訪れます。なお、病院で働く場合の勤務形態については他の一般病棟と変わりなく、2交代制あるいは3交代制で勤務します。
整形外科で働く場合は骨格系や神経系の解剖生理に関する知識が求められます。部位や障害の内容によって表出する症状が異なるため、フィジカルアセスメントに対する深い理解も必要です。また、整形外科に訪れる患者の年齢層は幅広いため、コミュニケーションスキルも求められるでしょう。周囲との連携が必要になるため、理学療法士や作業療法士の視点、画像診断の基礎知識などを身につけておけば、症状に対する裏づけが可能になります。リハビリや画像診断に対するカンファレンスに積極的に参加することでそれぞれの役割をより深く理解できます。