運動器看護師とは、全身の骨格や筋肉、関節、靭帯などの運動器に関わる看護を提供する際に、高いレベルの知識や技術を有することを証明する資格です。資格保持者は直接看護を提供するだけでなく、人材育成にも携わり総合的に看護の質を高める役割を担います。この資格を取得することで運動器に関する知識が身につき、看護の幅が広がります。また、患者のご家族に対して適切なアドバイスをする力も養えます。身体が不自由な状態の患者と接する機会の多い診療科で働く際に役立つ資格であり、整形外科で働くのであればぜひ取得しておきたいところです。
受験資格にはいくつかの条件があります。まずは日本運動器看護学会の会員であること。その上で看護師として5年以上の実務経験を積んでおり、加えて整形外科などの運動領域を扱っている医療機関で3年以上の実務経験を積まなければなりません。その他にも、育成講座のカリキュラムを受講し、500ポイント以上獲得するなどの条件があります。
運動器看護師は試験よりも講習が重視されています。そのため、難易度自体は低いものの取得までにはある程度の時間がかかります。一度認定された後も定期的に講習を受け、更新する必要があります。2013年から始まった比較的新しい資格であり、資格保持者はまだそれほど多くありません。看護師に特定した専門資格として将来性が見込まれており、早いうちに取得しておけば今後のキャリアアップにも役立つでしょう。
整形外科分野の看護師に対する初めての資格であり、誕生して間もないことから現状ではそれほど浸透していません。どのような待遇や取り組みが見込めるかは未知数ですが、超高齢化社会で身体が不自由な高齢者がこれから増加していくことを考えると、需要は確実に伸びていくでしょう。医師や理学療法士の不足も懸念されており、そういった際には運動器看護師が持つ働きが非常に強くなります。資格取得によって身につけた知識や技術が大いに活かせる環境になるでしょう。また、高齢者だけでなく運動器障害は幅広い年代で起こります。そのため、様々な科目で必要とされる人材になれます。
資格を取得してキャリアアップしていく際には、本人の努力だけでなく資格勉強をしやすい環境も必要なため、資格取得を推進している職場に転職するという手もあります。